【Report】阿佐ヶ谷・高円寺プロジェクト
まちづくりアワード特別賞受賞の裏話
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阿佐ヶ谷・高円寺プロジェクト(以下AKP)が2022年5月31日に国土交通省「第1回まちづくりアワード(実績部門)」にて、特別賞を受賞しました。
まちづくりアワードとは、国土交通省が特に優れたまちづくりの取り組みや計画を表彰するもので、第1回目の今回は、応募数39件の中から、大臣賞1件、特別賞7件が選ばれました。
AKPは、線路で隔てられたまちをつなぎ、人の流れを増やし、周辺のまちとつなげていく、そんなまちとの共生の姿を思い描いているプロジェクトです。「高架下空き倉庫」を活用するなど、地域のみなさまの“やってみたい” を実現させる各種イベントを実施し、地域コミュニティの形成を行っています。今回の受賞では、社員によるプロジェクトチームで継続的な運営体制を構築していること、子ども向け・子育て世代向けのイベントや文化系イベントを多く開催するなど、公共的な屋外空間の利活用事例として、公益性、継続性を高く評価していただきました。
まちづくりアワードの概要はこちらです(国土交通省HPのPDFが開きます)
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悩みながら走る。
動き始めたAKPの活動
AKPは、JR中央線・総武線 高円寺~阿佐ケ谷駅間高架下で地域の方に「歩きたくなる高架下」と感じていただけることを目指し、2017年から様々な活動を行っています。AKPの活動は、2017年12月のまちあるきカレンダープレゼントから始まり、次の活動「高円寺×阿佐ヶ谷 映画祭」(2018年9月)に繋がります。高架下の景色を変えることにチャレンジしようと、地域のプレイヤーたちが選んだ映画の上映とトークショーを行い、普段はシャッターが閉まっている高架下の空き店舗や空き倉庫の7か所を劇場に変身させました。
「高架下の雰囲気をガラッと変えることができた一日でした。ただ、たった一日暗い高架下の雰囲気を変えただけでは、地域の方々に喜んでいただけたのだろうか?私たちのやりたいことを押し付けちゃっていないか?そんな疑問が沸いてきたのもこの頃です。」と、創設時からAKPメンバーである 北田 きただ 和美 かずみ さんは言います。
地域のみなさまとの
取り組みへ舵を切る
「では逆に地域の方々からやりたいことを聞いてみようと、高架下でやりたいアイデアを募集し、実際にやってみるという企画を開催しました。高架下でミニSL走らせたり、テントで夜明かしをしたり・・・社内ルールのギリギリを責めましたよね。」と北田さんは笑いながら話します。
その後は出てきたアイデアを活かし、高円寺の銭湯、小杉湯の番頭さんたちによる「高架下芸術祭」(2019年9月~11月)を実施するなど、AKPの活動は当社が主催のものから地域の方々と協力した取組みの実施に舵を切っていきました。
2020年12月の「高架下見本市」では、これまでの高架下活用をパネルに展示し、高架下空き倉庫で何かやってみたい人を募集する「お試し利用エントリー」を実施。その結果、32組と思っていた以上のお申込み数に、「この地域のみなさまの『やってみたい』に応えたい」という思いを新たにした瞬間となりました。
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日常的に
やってみたいが叶う場所へ
エントリー者によるイベント「お試し利用」(2021年5月~8月)では、マルシェ、演劇、展示、トークセッションから、プラレールや寄席、殺陣ショーまで、多様なジャンルの企画が実現できました。
「上に鉄道が走る高架下ならではの制限もあり、全ての要望には応えられない。それでもお一人お一人の熱意と向き合い実現していくのは楽しかったですね。お試し利用によって地域のみなさまからのニーズが確認できたこと、利用のルールなどが整理できたことで、このエリアに縁のある方々への貸し出しを継続することにしました。」とAKPメンバーの 原田 はらだ 健司 けんじ さんは言います。
日常的に何か面白いことをやっている場所、やってみたいができる場所、地域の方とつながれる場所になれるように場を開いていった、そんな積み重ねが、今回の受賞につながったのかもしれません。

「高架下空き倉庫 お試し利用」の様子はこちらからご覧ください。
Ver.1 地域のみなさまと、やってみたいをかたちにする
Ver.2 地域のみなさまが主催する高架下お試し利用を開催中
Ver.3 地域のみなさまが使える高架下~場所から場へ~
地域の方の支えが
あったからこその受賞
今回の受賞を受け、これまでお世話になった地域の方々からコメントをいただきました。
2017年初期からAKPをお手伝いいただいているエヌキューテンゴ齊藤志野歩さん:AKPは部署横断チーム。同じ課題にそれぞれの立場から関わり、まずはどんどんやってみる!というようなカルチャーが、ご一緒していて楽しいです。場づくりも、まちづくりも、「誰かに来て欲しい・使って欲しい・楽しんで欲しい」と思うなら、推進するチーム自体がいいチームになることが先決だと、改めて思います。
アート展開催のNPO法人チューニング・フォー・ザ・フューチャー手塚佳代子さん:高架下の不思議な空間「高架下空き倉庫」の地域コラボレーションが評価され、私達にとっても励みになりました。名前の響きが気になって、屋外アート展BATA ART EXHIBITIONを初めて屋内開催。約150球のスタードーム灯籠が煌めく様子を多くの方に楽しんでいただけました。天候や日没に左右されずに実行できるのは重要なポイント。「高架下」にある「空き倉庫」の可能性は広がるばかりですね。
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期待を胸にこれからも
試行錯誤して進んでいく
お試し利用の利用者でもあり高架下空き倉庫ロゴのデザイナーでもあるHACOBE(ハコベ)さん:地域の人たちの笑顔、そこから広がる何か?行き着いたのが「高架下ガレージマーケット」の開催でした。ロゴマークの制作では、イベントを思い出しながら、高架下で楽しむ人たちを丸で表現。マークの丸が、イベントと共にどんどん増える事を願っています。
さらにHACOBEさんからは、「8メートルもの高い天井を活かして何かできないか、いつも考えています。イベントを見て私も何かやりたい、いつも何かが開催されているね、ここに来ると必ず誰かに会えるね、そして「集合場所は、高架下空き倉庫」。そんな街の中心に育っていきますように。」と期待を込めていただきました。
AKPの活動は、進んだり戻ったり、目的を確認しながら試行錯誤して少しずつ前に進んでいます。これからのAKPにもどうぞご期待ください!

・施設名称 高架下空き倉庫
・所  在 東京都杉並区阿佐谷南2-36
・アクセス JR中央線・総武線 高円寺駅から徒歩6分、阿佐ケ谷駅から徒歩9分

取材編集/くらしづくり・まちづくり室